違いは何なの?WPS Officeの搭載フォントにまつわる「ちょっとディープなお話し」
「WPS Office」には最大で57種類のフォントを搭載しています。
「キングソフトオフィス」から「WPS Office」へとリブランドした際に「特別テーマフォント」を刷新しました。フォントは、単なる字体の違いではなく、作成する書類やスライドなどのイメージを左右する要素です。
今回はそんな「WPS Office」の搭載フォントをご紹介します。
「WPS Office」の基本フォント29種類
「WPS Office」には「基本フォント」として29種類のフォントを搭載しています。
この基本フォントというのは、Microsoft® Officeと共通しているフォントです。
例えば、WPS OfficeのWriterで文書を作成し、Microsoft® Officeを利用している人に、その文書ファイルを送ったとします。ファイルを受け取った相手は、その文書をMicrosoft® OfficeのWordで開くわけですが、その際、共通のフォントデータが入っていないと、近しいフォントに自動的に置き換えられてしまいます。
フォントが変わるだけなら、一見問題がないように思えるかもしれません。例えば、小説の原稿やブログ記事の原稿のような、単純な文章を入力したファイルであれば、ある程度フォントが変わったとしてもさほど問題はありません。
ですが、文章の中に表やクリップアートを挿入していたり、見出しなどを設けているような複雑なレイアウトにしたファイルを送り、相手側のオフィスソフトで異なるフォントに置き換えると、レイアウトが崩れてしまう場合があります。
この現象がなぜ起こるかというと、フォントは単なる文字の造形だけの違いではなく、種類によって文字の間隔などが異なる場合があるからです。変換されるフォントの種類によっては、自分で作った文書のレイアウトに収まらず、全体が崩れてしまうことがあるというわけです。
それを防ぐために「WPS Office」が搭載しているのが、29種類の基本フォントです。
Microsoft® Officeが搭載しているフォントの中で、特によく使われているものを選んでいるので、この基本フォントを利用して文書などを作成すれば、Microsoft® Officeを利用している人にファイルを送っても、フォントによるファイルのレイアウト崩れを最小限に抑えることができるのです。
ちなみにこれは余談ですが、フォントの名称についている「HG」「HGS」などの表記には大きな意味はありません。これはそのフォントを作成した企業のブランドを表しているだけの記号です。HG系のフォントはリコーが作成しているフォントで「High Grade」の略とされています。
フォントの末尾についている英字は、フォントの太さを表しています。「E」は「Extra Bold」=「特太」、「UB」は「Ultra Bold」=極太、「M」は「Midium」=中、といった分け方ですが、この太さに関する表記には明確な共通表記はなく、あくまでもフォントを作成した企業が便宜的につけているだけですので、そのフォントを表示してみたときの実際の見た目で選ぶのがよいでしょう。
「WPS Office」の特別テーマフォント
「WPS Office」は、基本フォントの他に「特別テーマフォント」を「Platinum Edition」と「Gold Edition」に搭載しています。
これは「WPS Office」が独自に選んで搭載しているフォントです。
「デザイン・装飾」「手書き」「筆」「レトロ」「ユニバーサルデザイン(スタンダード)」「ユニバーサルデザイン(オリジナル)」の6種類、全部で28書体のバリエーションがありますが、これをすべて搭載しているのは「Platinum Edition」のみとなります。「Gold Edition」は6種類のうち「手書き」「筆」「ユニバーサルデザイン(オリジナル)」の3種類を搭載しています。
ではそれぞれのグループの特徴を見てゆきましょう。
①クリエイティブな作業に使える「デザイン・装飾」フォント
「デザイン・装飾」フォントの5種類は、ポスターやショップカード、ポップなど、デザイン性を重視した制作物におすすめ。
明朝体をベースに、モダンで優雅なラインを描き出した「解ミン 宙」2種類や、画像ソフトなどで文字の縁取り処理をせずにそのまま使える「新ゴMin」2種類、手書きのような書体に小粒な仮名文字がかわいい「すずむし」の5種類です。
②お礼状や気持ちを伝えたい文書にもピッタリ「手書き」フォント
ソフトなラインの字体を集めた「手書き」フォント5種類。
崩した手書き文字風の「タカポッキMin」や、ペン習字風の「モトヤEXノート」など、優しい風合いの文字がそろっているので、手書きには自信がないけれど、硬い感じではない温かみのあるお礼状などを作成したい時にピッタリです。
③年賀状や店頭ポスターにも使える「筆」フォント
「筆」フォントはその名のとおり、筆文字をイメージした特徴のあるフォントです。
年賀状など、和の雰囲気を出したいものはもちろん、インパクトのある「勘亭流」は店頭のポスターなどの目立たせたいものを作成するときにも使えそう。「新正楷書」や「SモトヤEX行書」は、端正な雰囲気もあるので、書類やスライド資料のタイトルに使うのもおすすめです。
④アンティークな雰囲気も!おしゃれさが際立つ「レトロ」フォント
さりげない飾り文字風のアクセントが魅力の「レトロ」フォントは、おしゃれな雰囲気を出したいものに使うのがおすすめ。
「フォーク」や「モトヤアラタ」は、カフェのメニュー表、フォトアルバムのタイトルのような、エレガントに仕上げたいものに是非使ってみてください。「シネマレター」は一番レトロさがあるフォントです。こちらも使いやすいですよ。
⑤読みやすさ抜群の万能選手「ユニバーサルデザイン(スタンダード)」フォント
ユニバーサルデザインフォント、というのは、読み違えやすい文字を誰でもはっきりと視認できること、を意識してデザインしたフォントの総称です。例えば「ぱ」と「ば」のような、字体や大きさによってはどちらか判別しにくい文字などが、はっきりと見やすいのが特徴です。
ユニバーサルデザインフォントのスタンダードは、クセのない字体なので、どんなものにも使いやすいですよ。
⑥WPS Office独自の「ユニバーサルデザイン(オリジナル)」フォント
「ユニバーサルデザイン(オリジナル)」は、WPS Officenoオリジナルフォントです。
優しい丸みのあるフォントで、読みやすさもばっちり。ユニバーサルデザインフォントは、お子様やお年寄りの方にも優しいフォントなので、幼稚園や病院などでの掲示物にもおすすめです。
特別テーマフォントがあると、制作物のクオリティがぐっと上がる!
先にご紹介した通り、6種類の特別テーマフォントをすべて搭載しているのが「Platinum Edition」です。「Gold Edition」は6種類のうち「手書き」「筆」「ユニバーサルデザイン(オリジナル)」の3種類を搭載しています。他には「Standard Edition」に特別テーマフォント全種類をフォントパックとしてお付けした製品もありますよ。
「Platinum Edition」と「Gold Edition」はVBA/マクロの機能が付いていますが、複雑な関数を使った表計算などをしないから基本のソフトでいいけれど、でもフォントは色々使いたい!という方には「Standard Edition と特別テーマフォントのセット」がおすすめです。
使えるフォントが多いほど、ちょっとした制作物の仕上がりに差が出ます。
オフィスソフトを使って、色々なものを作りたい、という方や、こんなものを作りたいというイメージがある方は、フォントの種類で製品を選んでいただくのもおすすめです!